QNAP TS-464のHBS3 QuDedup遅延警告をSSDボリューム移行で解消する手順|メモリ16GB化も実機検証

QNAP TS-464のHBS3 QuDedup遅延警告をSSDボリューム移行で解消する手順|M.2 SSD RAID1、SSD_HBS、メモリ16GB化の実機検証 技術・工作

私は、QNAP製のNAS1「TS-464」を愛用しています。

そして、多くのデータのクラウドバックアップを行うために、QNAP QTS上のバックアップアプリ「HBS3(Hybrid Backup Sync 3)」を使っています。

ところが、ある日を境に次のような「QuDedup遅延の警告(ワーニング)」が出るようになりました。

The amount of data for backup is slowing down QuDedup. To speed up the process, migrate the HBS application to an SSD volume.

(訳)バックアップ対象のデータ量が多いため、QuDedupの処理が遅くなっています。処理を高速化するには、HBSアプリケーションをSSDボリュームに移行してください)

この記事では、このワーニングに対処するために行ったことを紹介しています。

  1. 対処した結果、どうだったか?
    1. 「QuDedup」って何?
    2. やったこと①:M.2 SSD追加 → HBS3移動
    3. やったこと②:メモリを交換して16GB化
    4. 作業を行う前 と 行った後 の結果比較
  2. QuDedup遅延警告(ワーニング)への対処作業の概要
    1. 事の発端は、HBS3のQuDedup遅延警告
    2. とりあえず、NASのファームウェアを更新してみたところ…
    3. 作業前のTS-464環境
    4. 用意したパーツ
      1. M.2 SSD
        1. このSSDはTS-464では最大性能を発揮することはできないが?
      2. M.2 SSD用ヒートシンク
        1. ヒートシンクの横幅が2mmオーバーしているが?
      3. メモリ
        1. 2枚とも同じ仕様のメモリに揃える
        2. 最大どこまでメモリ増設できるのか?
  3. 作業1:メモリとM.2 SSDを取り付ける
    1. NASをシャットダウンする
    2. フロントカバーとHDDトレイを外す
      1. トレイは、ラッチを押しながら引き抜く
      2. HDDトレイを元の位置に戻せるよう、番号に注意
    3. メモリを装着する
      1. 同じ型番のメモリで揃える
      2. ロック用の金属爪がロックされにくい場合あり
    4. M.2 SSDを装着する
      1. 安定した性能を確保するために「ヒートシンク装着」を推奨
      2. SSD取り付け用スペーサーは慎重に押し下げて固定する
      3. TS-464のCPUクーラーとSSDヒートシンクの干渉に注意
    5. HDDトレイを元の順番で戻す
      1. (RAIDを組んでいる場合は)HDDトレイの順番に注意
      2. SSDボリュームはまだ作成されていない
  4. 作業2:QTSで メモリ16GB と M.2 SSD 2枚 の認識を確認する
    1. 確認ポイント①:メモリが16GBとして認識されているか
    2. 確認ポイント②:M.2 SSDが2枚とも認識されているか
    3. 確認ポイント③:既存HDD 4台 と DataVol1 も正常か
  5. 作業3:SSD RAID1ストレージプールとSSD_HBSボリュームを作成する
    1. ストレージプール作成ウィザードを立ち上げる
    2. QtierとSEDを無効にする
    3. 使用するディスクを選択する
    4. 予約領域の設定をする
    5. ストレージプール2の作成を実行する
    6. SSD_HBSボリュームを作成する
    7. SSD_HBS作成後の状態を確認する
    8. スナップショット予約領域を20%から5%へ変更する
  6. 作業4:App CenterでHBS3をSSD_HBSへ移行する
    1. App CenterからHBS3の「移行先」を選ぶ
      1. 「移行先」メニューは、移行先ボリュームが無いと表示されない
    2. DataVol1からSSD_HBSへ移行する
      1. 移行先をラジオボタンで選択する
      2. 移行前にバックアップジョブが動作していないことを確認する
    3. HBS3の移行完了を確認する
      1. QTS通知ボードで、SSD_HBSへの移行完了を確認
      2. ボリューム情報でも、移行完了を確認
      3. 既存ジョブが残っているかも、確認する
      4. 遅延警告が消えたかどうかは、まだわからない
  7. 作業5:HBS3移行後に同じバックアップジョブを再実行する
    1. 移行後の再実行ではQuDedup遅延警告は出なかった
    2. HBS3レポートで処理内容を確認する
    3. Resource MonitorでもI/O待機を確認する
      1. CPU使用率、メモリ使用量・使用率、I/O待機
      2. HDDレイテンシ
      3. 移行前後のResource Monitor比較 一覧表
  8. 注意点・つまずきポイント
    1. 警告が消えるかは環境によって変わる
    2. TS-464-8Gのメモリ増設は公式資料の記載差に注意
    3. HM-21はQNAP推奨寸法からは外れる
  9. まとめ
      1. 脚注・出典

対処した結果、どうだったか?

対処作業をした結果から書くと、私のTS-464環境では、

HBS3アプリの配置場所をHDDからM.2 SSDへ移行し、QuDedup遅延の警告(ワーニング)を消すことができました。

「QuDedup」って何?

QuDedupは、バックアップ時に同じ内容のデータを重複して保存しないようにする仕組みです。
容量を節約できる一方で、重複を判定するための管理データやインデックス処理が必要になります。

今回の警告は、HBS3のインストール先がボトルネックになりQuDedup処理が重くなっているため、HBS3アプリケーションをSSDボリュームへ移行するよう促す内容でした。

やったこと①:M.2 SSD追加 → HBS3移動

現在、私のTS-464のメインストレージはHDD(ハードディスク)だけを用いています。
ですが、今回の警告(ワーニング)の内容によると、「SSDボリューム」が必要そうです。

幸い、TS-464には拡張用のM.2スロットが2基搭載されています。

なので、ここへ新たにM.2 SSDを2枚追加してSSD RAID1ボリュームを作成し、そこへHBS3を配置するよう設定を行うことにしました。そしてバックアップジョブで警告が消えるかを確認します。

「QNAP公式FAQ」を見ると、QuDedupを使うバックアップジョブでは、HBSがローカルのデータベースを作成してファイルインデックスを参照し続けるため、データ量が増えるとI/O性能の影響を受けやすくなると説明されています。
また、その対策として「HBSがHDDボリュームやHDDストレージプール上にある場合は、SSDボリュームまたはSSDストレージプールへ移行すること」も案内されています。

やったこと②:メモリを交換して16GB化

また、QNAP公式FAQにはHBS3をSSDストレージへ移行する事のみが案内されていますが、処理の高速化に寄与することを期待して、この機会にメモリもあわせて交換して16GB化しました。

ただし、TS-464-8Gのメモリ増設可否については、QNAP公式仕様2では「最大メモリ 16GB(2x8GB)」と記述がある一方、「TS-x62 / TS-x64ユーザーガイド3」には「内蔵メモリ 8GB(拡張不可)」と記述されており内容に矛盾があります。
これらはどちらが公式アナウンスとして正しいのか不明であり、本記事では問題なく16GB化が出来たものの、環境によっては交換しても16GB化できない場合もあるかもしれません
その点はご注意ください。

作業を行う前 と 行った後 の結果比較

今回の作業を行う前と行った後の結果の比較を表にまとめると、このような感じになります。

項目作業前作業後
メモリ8 [GB]16 [GB]
HBS3インストール先DataVol1(HDD RAID6)SSD_HBS(M.2 SSD RAID1)
QuDedup遅延警告あり今回の再実行ではなし
HBS3ジョブ所要時間約20分38秒約7分19秒

ちなみに、SSD・メモリ追加後のバックアップ処理時間の変化については、バックアップ対象の差分量、NAS側の負荷、クラウド側の状態で変わるため、この記事では私の環境での今回の実行結果となりますのでご注意ください。

QuDedup遅延警告(ワーニング)への対処作業の概要

事の発端は、HBS3のQuDedup遅延警告

今回の作業を行うことになった発端は、「HBS3(Hybrid Backup Sync)」でS3 Glacier系のバックアップジョブを実行したときに、次の警告が出ていたことです。

QNAP TS-464 HBS3 QuDedup遅延警告|ファームウェア更新後も残った警告ログ
▲QTSを5.2.9.3499へ更新したあとも、HBS3のQuDedup遅延警告は残りました。ジョブ名は伏せています。

The amount of data for backup is slowing down QuDedup. To speed up the process, migrate the HBS application to an SSD volume.

(訳)バックアップ対象のデータ量が多いため、QuDedupの処理が遅くなっています。処理を高速化するには、HBSアプリケーションをSSDボリュームに移行してください)

バックアップジョブ自体は失敗していません。
ジョブは警告ありで完了していました。

とりあえず、NASのファームウェアを更新してみたところ…

最初にQTSのファームウェアを更新してみましたが、警告は解消しませんでした。

日時状態
2026/05/25 01:23:48HBS3のQuDedup遅延警告を確認
2026/05/29QTS 5.2.9.3499 Build 20260514へ更新
2026/06/01 01:20:03ファーム更新後も同じ警告を確認
▲警告を確認してからファーム更新までの時系列はこのような感じ

この時点で、単なるファームウェア更新ではなく、警告文どおりにHBS3をSSDボリュームへ移す方向で検証することにしました。

作業前のTS-464環境

QNAP TS-464 作業前システム情報|QTS 5.2.9.3499とメモリ8GBの確認画面
▲作業前にQTSを5.2.9.3499 Build 20260514へ更新。メモリは8GB、スロット表示は「2(8GB / –)」でした。
項目内容
NASQNAP TS-464
CPUIntel Celeron N5095
QTS5.2.9.3499 Build 20260514
メモリ8GB
メモリスロット表示2(8GB / –)
既存HDDWDC WD60EFPX-68C5ZN0 ×4
既存ボリュームDataVol1
RAID構成RAID6
HBS3インストール先DataVol1
▲作業前の環境

QNAP公式仕様では、TS-464はCPUに「Intel Celeron N5095」を搭載し、M.2スロットは M.2 2280 PCIe Gen3 x1が2基搭載されています。また、M.2 SSDはホットスワップ非対応とされています。

そのため、M.2 SSDの取り付けは電源を落として行うことになります。

QNAP TS-464 作業前ストレージ構成|M.2 SSDなし、HDD 4台構成
▲作業前はM.2 SSDが0台、HDDが4台の構成です。既存のDataVol1は準備完了の状態。

作業前のストレージ概要を確認すると、M.2側は「SSD 0台」、3.5インチ側は「HDD 4台」という状態です。

つまり、HBS3はHDD上のDataVol1にインストールされており、警告文で求められている「SSD volume」への移行先がまだ存在しない、のが今の状態です。

このため、今回の作業は次の順番で進めました。

  1. TS-464をシャットダウンする
  2. 既存メモリを外し、Samsung 8GB×2へ交換して16GB化する
  3. M.2 SSDを2枚取り付ける
  4. QTSでSSD 2枚の認識を確認する
  5. SSD RAID1ストレージプールを作成する
  6. SSD_HBSボリュームを作成する
  7. App CenterからHBS3をSSD_HBSへ移行する
  8. 同じHBS3ジョブを再実行して警告の有無を確認する

用意したパーツ

今回用意したパーツは以下です。

種類製品数量用途
M.2 SSDSilicon Power P34A60 512GB2枚SSD RAID1ボリューム作成
ヒートシンクAINEX HM-212個M.2 SSDの放熱
メモリSamsung M471A1K43CB1-CTD 8GB DDR4-2666 SO-DIMM2枚既存8GB(Transcend TS1GSH64V6B)を外したうえで、新たにSamsung8GBを2枚で16GB化

M.2 SSD

QNAP TS-464 M.2 SSD増設|Silicon Power P34A60 512GBを2枚用意
▲SSD_HBS用のSSD RAID1ボリュームを作成するため、Silicon Power P34A60 512GBを2枚使用しました。

M.2 SSDは「Silicon Power P34A60」を用意しました。

このSSDはTS-464では最大性能を発揮することはできないが?

Silicon Power公式オンラインストアでは、「P34A60」はPCIe Gen3x4接続のNVMe M.2 SSDとして掲載されており、512GBモデルは「読込最大2,200[MB/s]、書込最大1,600[MB/s]」とされています4
対して、これを装着するTS-464側のM.2スロットはPCIe Gen3x1(最大約985[MB/s])です。

つまりこのSSD「P34A60」は、TS-464に装着しても、その最大性能を使い切る構成ではありません

しかし、今回の目的はHBS3のQuDedup関連処理をHDD側からSSD側へ逃がすことであり、SSDベンチマークの高速化ではありませんので、最大性能の追い込みなどは気にせずに進めました。

M.2 SSD用ヒートシンク

QNAP TS-464 M.2 SSDヒートシンク|AINEX HM-21の放熱パッドと付属部品
▲M.2 SSD用ヒートシンクとしてAINEX HM-21を使用しました。ヒートシンク、放熱パッド、固定用リング、ドライバーがセットになっています。

M.2 SSD用のヒートシンクは「AINEX HM-21-SET」を用意しました。

ヒートシンクの横幅が2mmオーバーしているが?

アイネックスの公式情報5によると、M.2 SSD用ヒートシンク、放熱シリコーンパッド、固定用リング、ドライバーなどを含むセット商品です。ヒートシンク本体のサイズは66.5×22×5.1mm(長さ x 幅 x 高さ)とされています。

一方、TS-464のM.2 SSDにヒートシンクを取り付ける場合、QNAP公式仕様によると上部ヒートシンク寸法は68×20×10mm(長さ x 幅 x 高さ)未満が推奨されており、用意したヒートシンク「HM-21」は数字上は幅が2mmオーバーしています。

結果的に、今回は実機では取り付けできましたが、すべての環境で取り付けできるわけではないと思いますのでご注意ください。

メモリ

QNAP TS-464 メモリ交換|既存Transcend 8GBとSamsung 8GB DDR4-2666 SO-DIMM 2枚
▲既存のTranscend 8GBメモリを外し、Samsung 8GB DDR4-2666 SO-DIMMを2枚用意しました。今回はこの2枚で16GB化します。
2枚とも同じ仕様のメモリに揃える

QNAP公式仕様では「同じ仕様のQNAPモジュールを使用」を求める記述があります
そのため、既存のTranscend 8GBメモリを外し、Samsung 8GB DDR4-2666 SO-DIMM 2枚に換装する事にしました。

最大どこまでメモリ増設できるのか?

また、QNAP公式仕様ではTS-464の最大メモリは16GB、メモリスロットは2×SODIMM DDR4と記載されています。
しかし一方で、TS-x62 / TS-x64ユーザーガイド(6ページ目)には、「8GB(拡張不可)」と書かれており、双方ともQNAP公式文書ですが、TS-464-8Gのメモリ拡張可否については記載に差があります。(2026/06/05 時点)

私の環境では、QTS上で空きスロットが表示されており、既存のTranscend 8GBメモリを外したうえで、Samsung 8GBメモリ2枚へ交換したところ、QTS上で16GBとして認識しました。しかしながら、あくまで私の環境での検証結果であって「必ず増設できる」という訳ではないという点にご留意ください。

作業1:メモリとM.2 SSDを取り付ける

ここから、TS-464本体にメモリとM.2 SSDを取り付けていきます。

NASをシャットダウンする

作業前に、QTSから通常シャットダウンします

その後、電源ケーブル、LANケーブル、USB機器などを外し、TS-464本体を作業しやすい机の上へ移動して作業を進めていきます。

QNAP公式のユーザーガイドでも、M.2 SSDを取り付ける前にはNASの電源を切り、電源コードや接続ケーブルを外す手順になっています

QNAP TS-464 作業前の背面|電源ケーブルとLANケーブルを外してから作業
▲作業前にTS-464をシャットダウンし、電源ケーブルやLANケーブルを外します。

フロントカバーとHDDトレイを外す

まず、フロントカバーを外し、HDDトレイを1台ずつ外していきます。

トレイは、ラッチを押しながら引き抜く

HDDトレイは、ラッチを押しながらまっすぐにゆっくりと引き抜きます。

QNAP TS-464 HDDトレイ取り外し|M.2 SSDとメモリ交換前の作業
▲M.2 SSDとメモリへアクセスするため、前面のHDDトレイを1台ずつ取り外します。

HDDトレイを元の位置に戻せるよう、番号に注意

既存HDD 4台はRAID6で運用しているため、取り外したあとに元の位置へ戻せるよう、HDDごとに番号ラベルを付箋紙で貼っておきました
今回の作業はメモリとM.2 SSDの追加であり、HDD構成を変更する作業ではありません。余計なトラブルを避けるため、HDDトレイは元の順番で確実に戻せるように細心の注意を払います。

QNAP TS-464 HDDトレイ番号管理|元の順番で戻すためにHDDへ番号ラベルを貼った状態
▲HDDトレイを元の順番で戻せるよう、取り外したHDDに1〜4の番号ラベルを貼って管理しました。

HDDトレイをすべて外すと、内部の基板、メモリスロット、M.2スロット周辺が見えるようになります。

QNAP TS-464 内部構造|HDDトレイを外したあとのメモリスロットとM.2スロット周辺
▲HDDトレイを外した状態です。右側の基板にメモリスロットとM.2 SSDスロットが見えます。

メモリを装着する

同じ型番のメモリで揃える

「用意したパーツ – メモリ」の項目で紹介したように、システム性能と安定性を考慮して今回は既存のTranscendメモリを外して、Samsung M471A1K43CB1-CTDの8GBメモリを2枚装着します。

つまり、構成としては次の形です。

項目内容
作業前Transcend TS1GSH64V6B 8GB ×1
作業後Samsung M471A1K43CB1-CTD 8GB ×2
合計メモリ容量16 GB
QNAP TS-464 メモリスロット装着前|Samsung 8GBメモリ2枚へ交換する前の状態
▲メモリ装着前のスロット周辺です。今回は2枚ともSamsungメモリへ入れ替えます。

ロック用の金属爪がロックされにくい場合あり

QNAP TS-464 メモリ16GB化|Samsung 8GB DDR4 SO-DIMMを2枚装着
▲Samsung M471A1K43CB1-CTDを2枚装着しました。既存のTranscend 8GBは取り外しています。

写真のように、メモリが2段に重なるような形で装着されるので、まず、下側のモジュールから装着します。

まず、スロットにメモリの端子がスロットに隠れるくらいまで斜め(30°位)に差し込みます
その後、メモリモジュールを基板の方向に「カチッ」と音がするまで押し倒してロックします(スロット両端の金属の爪がハマってロックされる)。

上側のメモリの装着時、向かって左側の金属爪がメモリを押し倒すだけではロックされない状態でした。メモリを押し倒しながら金属爪を指で横からサポートするとロックされました
爪がロックされないからとメモリモジュールを無理な力で押し倒しすぎないように注意してください。

M.2 SSDを装着する

安定した性能を確保するために「ヒートシンク装着」を推奨

次に、M.2 SSD(Silicon Power P34A60 512GB)へ『AINEX HM-21ヒートシンク』を取り付けます。

QNAP公式ユーザーガイド(37ページの「重要」欄)には、「M.2 SSDコントローラーの冷却効率を高め、安定した性能を確保するため、M.2 SSDへのヒートシンク装着が推奨」する記述があります。

Silicon Power P34A60 ヒートシンク装着|AINEX HM-21を取り付けたM.2 SSD
▲Silicon Power P34A60にAINEX HM-21を取り付けた状態です。放熱パッドと固定用リングで固定します。

横から見ると、SSD本体、放熱パッド、ヒートシンクの厚みが分かります。

Silicon Power P34A60 ヒートシンク側面|AINEX HM-21装着後の厚み確認
▲HM-21装着後の側面です。今回は実機上で干渉がないか確認しながら取り付けました。

M,2 SSDにヒートシンクを取り付けが完了したら、TS-464のM.2スロットへ装着します。

SSD取り付け用スペーサーは慎重に押し下げて固定する

TS-464のM.2 SSDは、青い樹脂製のスペーサーで固定します。
M.2 SSDをスロットへ差し込む前にスペーサーのロックを解除し、SSDを差し込んだあとにスペーサーで押さえて固定します。
QNAP公式ユーザーガイドでも、M.2スペーサーの端を押し下げてロックを解除し、SSDを差し込んだあと、スペーサーがSSDを固定するまで慎重に押し下げる手順になっています。

QNAP TS-464 M.2 SSD固定スペーサー|ロック解除状態
▲M.2 SSDを取り付ける前に、青い固定スペーサーのロックを解除します。

TS-464のCPUクーラーとSSDヒートシンクの干渉に注意

ここで注意したいのは、ヒートシンク寸法です。

先の M.2 SSD用ヒートシンク の項目で述べたとおり、このヒートシンク(HM-21)を装着したM.2 SSDをTS-464へ取り付ける場合、数字上はヒートシンクの幅が2mmオーバーしてQNAP公式の推奨寸法からは外れます。実際、TS-464のCPUクーラーに固定用リングが干渉するためそのままでは取り付け不可でした。
しかし、この写真のように、固定用リングをCPUクーラーのへこみ部分までズラして装着すれば、問題なく装着することができました

このように、SSDヒートシンクの横幅は結構ギリギリですので、違うヒートシンクを選ぶ場合には注意が必要です。

QNAP TS-464 M.2 SSD 2枚装着|P34A60にHM-21を付けて取り付けた状態
▲P34A60 512GBを2枚装着しました。どちらもAINEX HM-21ヒートシンク付きです。

M.2 SSDを取り付けたあとは、スペーサーでしっかり固定されていることを確認します。

また、HDDトレイを戻す前に、メモリ、M.2 SSD、ヒートシンクまわりに明らかな浮きや干渉がないかを確認しました。

HDDトレイを元の順番で戻す

メモリとM.2 SSDの取り付けが終わったら、HDDトレイを元の番号順に戻します。

(RAIDを組んでいる場合は)HDDトレイの順番に注意

今回は既存HDD 4台でRAID6を組んでいるため、HDDトレイの順番を崩さないように注意します。

QNAP TS-464 HDDトレイ復旧|M.2 SSDとメモリ交換後にHDDを元の順番で戻す
▲HDDトレイを元の順番で戻しました。既存のHDD構成を変えないように注意しています。

最後にフロントカバーを取り付け、電源ケーブルとLANケーブルを戻します。

QNAP TS-464 作業後の外観|メモリとM.2 SSD取り付け後にフロントカバーを戻す
▲フロントカバーを戻して物理作業は完了です。このあとQTS上でメモリとM.2 SSDの認識を確認します。

SSDボリュームはまだ作成されていない

メモリとSSDの物理的な取り付けが完了したので、次の手順として、まずはQTSを起動しメモリ16GBとM.2 SSD 2枚が正しく認識されるかを確認します
この時点では、まだSSDボリュームは作成されていません

作業2:QTSで メモリ16GB と M.2 SSD 2枚 の認識を確認する

メモリとM.2 SSDの取り付けが終わったら、TS-464を起動してQTS上で認識状態を確認します。

ここで確認するポイントは、主に次の3点です。

  1. メモリが16GBとして認識されているか
  2. M.2 SSDが2枚とも認識されているか
  3. 既存のHDD 4台とDataVol1に異常が出ていないか

今回の作業は、M,2 SSDを追加するだけで、既存HDD側のデータ構成は変更しません。
そのため、既存のHDD 4台とDataVol1が正常な状態で残っていることも確認しておきます。

確認ポイント①:メモリが16GBとして認識されているか

QTSのシステム情報を確認した結果、メモリは16GBとして認識されていました。

QNAP TS-464 メモリ16GB認識|Samsung 8GBメモリ2枚がQTS上で8GB/8GB表示
▲Samsung 8GBメモリを2枚装着後、QTS上では合計16GB、メモリスロットは「2(8GB / 8GB)」として認識されました。

作業前後の表示は、次のように変化しました。

項目作業前作業後
合計メモリ8GB16GB
メモリスロット2(8GB / –)2(8GB / 8GB)
QTS5.2.9.3499 Build 202605145.2.9.3499 Build 20260514

これで、少なくとも私の実機では、Samsung M471A1K43CB1-CTD 8GBを2枚装着した状態でQTSが16GBとして認識することを確認できました。

ただし、前述のとおり、TS-464-8Gのメモリ拡張可否についてはQNAP公式資料間で記載に差があります。
そのため、ここでは「私の実機では16GBとして認識した」という実機結果として扱います。

確認ポイント②:M.2 SSDが2枚とも認識されているか

次に、ストレージ&スナップショットでM.2 SSDの認識状態を確認します。

QNAP TS-464 M.2 SSD認識確認|P34A60 512GBが2枚ともQTS上で認識された状態
▲M.2スロットに取り付けたP34A60 512GBが、SSD 1、SSD 2として認識されました。

この時点では、M.2 SSDはまだ取り付けただけです。
ストレージプールもボリュームも作成していないため、HBS3の移行先としてはまだ使えません。

つまり、この段階で確認できるのは、あくまでQTSがM.2 SSD 2枚を物理デバイスとして認識したというところまでです。

次に、SSD 2枚でRAID1のストレージプールを作成し、その上にHBS3移行用のSSD_HBSボリュームを作成します。

確認ポイント③:既存HDD 4台 と DataVol1 も正常か

M.2 SSDとメモリを取り付けたあとも、既存のHDD 4台とDataVol1が正常な状態で残っているかを確認します。

QNAP TS-464 ストレージ構成確認|M.2 SSD 2枚とHDD 4台が認識された状態
▲M.2 SSD 2枚とHDD 4台が認識され、既存のDataVol1も準備完了の状態でした。

作業前は、M.2側がSSD 0台、3.5インチ側がHDD 4台でした。

作業後は、M.2 SSD 2枚とHDD 4台の構成になりました。

項目作業前作業後
M.2 SSD0台2台
HDD4台4台
既存DataVol1準備完了準備完了
HBS3インストール先DataVol1まだDataVol1のまま

ここで重要なのは、M.2 SSDを取り付けただけではHBS3の移行は完了していないという点です。

HBS3の警告文では「HBS application to an SSD volume」と書かれていました。
つまり、必要なのはSSDを取り付けるだけではなく、SSD上にボリュームを作成し、HBS3アプリケーションの配置先をそこへ移すことです。

そのため、次の作業ではM.2 SSD 2枚を使ってRAID1のストレージプールを作成し、HBS3移行用のSSD_HBSボリュームを作成していきます。

作業3:SSD RAID1ストレージプールとSSD_HBSボリュームを作成する

M.2 SSD 2枚がQTS上で認識されたら、次にSSD用の「ストレージプール」と「ボリューム」を作成します。

今回の目的は、SSDキャッシュを作ることではありません。HBS3の警告文にあったとおり、必要なのは HBSアプリケーションを移行できるSSD「ボリューム」 です。
そのため、M.2 SSD 2枚を使ってRAID1の新規ストレージプールを作成し、その上にHBS3移行用のボリューム『SSD_HBS』を作成します。

作業の流れは、次のとおりです。

  1. 新規ストレージプールを作成する
  2. ボリューム『SSD_HBS』を作成する
  3. スナップショット予約領域を20%から5%へ変更する

ストレージプール作成ウィザードを立ち上げる

まず、QTSの『ストレージ&スナップショット』6から、『新規ストレージプール』をクリックしてストレージプール作成ウィザードを立ち上げます。

QNAP TS-464 新規ストレージプール作成|ストレージ&スナップショットから作成メニューを開く
▲ストレージ&スナップショットの作成メニューから、新規ストレージプールを作成します。

今回は、既存のDataVol1とは別に、M.2 SSD 2枚だけを使った新しいストレージプールを作成します。

QtierとSEDを無効にする

『新規ストレージプール』をクリックすると、ストレージプール作成ウィザードが開始されます。

最初に、『Qtier7』と『SED8』の設定が出てきます。

今回やりたいことはあくまでHBS3を移行するためのSSDボリュームを作ることです。
そのため、どちらも無効にしました。

QNAP TS-464 ストレージプール作成|QtierとSEDを無効にした設定画面
▲今回はHBS3移行用のSSDボリュームを作るため、QtierとSEDは無効にしました。

使用するディスクを選択する

次に、使用するディスクを選択します。

今回は、HBS3の移行先として使うため 「M.2 PCIe SSD 1」 と 「M.2 PCIe SSD 2」 の2枚を選択します。
RAIDタイプは、『RAID19』を選択します。

QNAP TS-464 M.2 SSD RAID1設定|P34A60 512GBを2枚選択
▲M.2 PCIe SSD 1とSSD 2を選択し、RAIDタイプはRAID1にしました。

QTS上では、512[GB]のSSDが1枚あたり476.94[GB]として表示されていました。
これは、メーカー表記の512GBは10進表記で、OSやNAS上では実質的にGiB10に近い表示になるためです。

予約領域の設定をする

次に、作成するストレージプール上の予約領域の設定を行います。

QNAP TS-464 ストレージプール設定|SSDオーバープロビジョン5%とスナップショット予約20%
▲SSDオーバープロビジョンを5%、プール保証スナップショット領域を20%、警告しきい値を80%にした状態です。
  • SSDオーバープロビジョン
    SSDの一部容量を予備領域として確保し、書き込み性能・寿命・安定性を保ちやすくする設定です。
    今回はHBS3の作業用ボリュームとして安定性を優先したかったため、極端に大きくは取らず、5[%](23.37[GB])を確保しました。
     
  • プール保証スナップショット領域
    スナップショットを確実に保存できるよう、ストレージプール内にあらかじめ確保しておく予約領域です。
    20[%](88.81[GB])に設定しました。 ※これは後で5[%]へ変更します。
     
  • 警告のしきい値
    ストレージプールの使用容量が設定した割合に達したときに、空き容量不足を知らせるための警告基準です。
    今回作成するボリューム『SSD_HBS』は、写真や動画を保存する場所ではなく、HBS3やQuDedupの処理に使う作業用ボリュームです。
    QuDedupでは、バックアップ対象が増えると、管理用のデータベースやインデックスも増える可能性があります。容量をギリギリまで使うと、アプリ更新や一時ファイル作成の余裕がなくなります。
    そのため今回は、SSD_HBSを最大容量では作らず、警告しきい値を80[%]に設定して、容量不足に早めに気づけるようにしました。
     

設定した項目と値を一覧表にまとめると、次のようになります。

項目設定
SSDオーバープロビジョン5 %
プール保障スナップショット領域20 %
警告のしきい値80 %

ストレージプール2の作成を実行する

最後に設定内容を確認し、ストレージプール2の作成を実行開始します。

作成時には、選択したディスク上のデータが削除される警告が表示されます。
今回対象になるのは、新たに追加したM.2 SSD 2枚です。
(既存のHDD 4台側のDataVol1を削除する作業ではありません)

ストレージプール2の作成後、QTS上では次のような構成になりました。

項目内容
ストレージプールストレージプール2
使用ディスクM.2 PCIe SSD 1 / M.2 PCIe SSD 2
RAIDタイプRAID1
SSDオーバープロビジョン5 %
プール容量444.07 GB
警告しきい値80 %

この時点では、まだHBS3の移行先として使うボリュームはありません

次に、ストレージプール2上に ボリューム『SSD_HBS』を作成します。

SSD_HBSボリュームを作成する

ストレージプール2ができたら、その上にボリュームを作成します。

ストレージプールの作成をしたときと同様、QTSの『ストレージ&スナップショット』から『新規ボリューム』をクリックして『ボリューム作成ウィザード』を立ち上げます。

今回は、HBS3移行用としてSSD_HBS』という名前のボリュームを作成します。

ボリュームタイプは、『シックボリューム11を選択します。

QNAP TS-464 SSD_HBSボリューム作成|シックボリュームを選択
▲SSD_HBSは、ストレージプール2上にシックボリュームとして作成しました。

ボリューム容量は、今回は190[GB]で作成しました。
『最大に設定』ボタンを押して最大容量に近いサイズで作ることもできますが、その場合ストレージプール側の警告しきい値に近づきます。今回はHBS3用の作業ボリュームなので、容量を使い切ることよりも、余裕を残して運用することを優先し、190[GB]にしました12

QNAP TS-464 SSD_HBS設定|190GBのシックボリュームを作成
▲ボリューム名をSSD_HBS、容量を190GBに設定しました。最大容量にはせず、プール側に余裕を残しています。

ここでの主な設定を一覧にまとめると、次のようになります。

項目設定
ボリューム名SSD_HBS
ボリュームタイプシックボリューム
作成時入力容量190 GB
警告のしきい値80 %
SSDキャッシュ無効
inode別バイト数32K

SSD_HBS作成後の状態を確認する

ボリューム作成後、ストレージ&スナップショットの概要画面で状態を確認しました。

QNAP TS-464 SSD_HBS作成後のストレージ概要|M.2 SSD 2枚とHDD 4台を認識
▲SSD_HBS作成後、M.2 SSD 2枚とHDD 4台が認識され、DataVol1とSSD_HBSの2ボリューム構成になりました。

作成後の構成を一覧表にまとめると、次のようになります。

項目内容
既存ボリュームDataVol1
新規ボリュームSSD_HBS
SSD_HBSタイプシックボリューム
SSD_HBS表示容量186.99[GB]
M.2 SSD2台
HDD4台

これで、HBS3の移行先となるSSD_HBSボリュームが準備できました。

スナップショット予約領域を20%から5%へ変更する

最後に、スナップショット予約領域を調整します。

現状は、プール保証スナップショット領域は20[%](88.81[GB])に設定されています。

QNAP TS-464 スナップショット予約領域変更前|SSD_HBSで20%予約された状態
▲初期状態では、ストレージプール2のプール保証スナップショット領域が20%、88.81GBになっていました。

プール保証スナップショット領域は、ファイルの誤削除や変更があったときに、過去の状態へ戻すためのスナップショット用領域です13

いっぽう、今回作成したボリューム『SSD_HBS』は、写真や動画を保存する場所ではなくHBS3用の作業ボリュームです。

スナップショット領域として20[%](88.81[GB])の領域を確保されている初期値設定は、今回のHBS3用ボリュームとしては大きすぎるように感じます。ただ、0[%]にするとスナップショット用の保証領域をまったく残さない設定になってしまいます。

そのため今回は、20[%]から5[%](22.20[GB])へ変更しました。

QNAP TS-464 スナップショット予約領域変更後|SSD_HBSで5%予約に変更
▲SSD_HBS用途では20%は大きいと判断し、プール保証スナップショット領域を5%、22.20GBへ変更しました。

変更後を一覧表にまとめると、次のようになります。

項目変更前変更後
プール保証スナップショット領域20[%]5[%]
容量88.81[GB]22.20[GB]
空きサイズ94.25[GB]160.86[GB]

ここまでで、HBS3移行用のSSDボリューム作成は完了です。

この時点では、HBS3はまだDataVol1上にあります。
次の作業で、App CenterからHBS3をSSD_HBSへ移行します。

作業4:App CenterでHBS3をSSD_HBSへ移行する

ボリューム「SSD_HBS」を作成したら、いよいよHBS3をSSD側へ移行します。

App CenterからHBS3の「移行先」を選ぶ

HBS3の移行は、QTSのApp Centerから行いました。

App CenterでHybrid Backup Syncを表示し、メニューから「移行先」を選択します。

QNAP TS-464 HBS3 App Center移行メニュー|Hybrid Backup Syncの移行先を選択
▲App CenterでHybrid Backup Syncのメニューを開き、「移行先」を選択します。

「移行先」メニューは、移行先ボリュームが無いと表示されない

ボリューム「SSD_HBS」を作成する前は、この移行先が見当たりませんでした。
「SSD_HBS」を作成したあと、HBS3の移行先として『SSD_HBS』を選べるようになりました。

どうやら、移行先ボリュームが無い(ボリュームがひとつだけ)と「移行先」メニューは表示されないようです。

DataVol1からSSD_HBSへ移行する

移行先をラジオボタンで選択する

次の「アプリ移行」画面では、HBS3が現在配置されている場所(ソース(移行元))を確認して、どこへ移動させるか(宛先(移行先))を選択します。

  • ソース(移行元): DataVol1
  • 宛先(移行先): SSD_HBS
QNAP TS-464 HBS3移行先選択|DataVol1からSSD_HBSへ移行
▲HBS3の移行先として、DataVol1からSSD_HBSを選択しました。

「宛先」の「SSD_HBS」の左にあるラジオボタンをクリックして選択し、「移行」をクリックして移行開始します。

移行前にバックアップジョブが動作していないことを確認する

すると以下のように「移行中はHBS3が一時的に無効になる」旨の確認ダイアログが出ます。
そのため、バックアップジョブの実行中ではないことを確認してから進めました。

QNAP TS-464 HBS3アプリ移行確認|移行中はアプリが無効になる注意表示
▲アプリ移行中はHBS3が一時的に無効になるため、関連ジョブの実行中でないことを確認してから進めます。

HBS3の移行完了を確認する

移行が実行されると、HBS3(Hybrid Backup Sync)が一時停止し、SSD_HBSへ移行されたあと、再び起動します。

QTS通知ボードで、SSD_HBSへの移行完了を確認

下記のようにQTS画面上部の通知ボードで、HBS3(Hybrid Backup Sync)がボリューム「DataVol1」からSSDのボリューム「SSD_HBS」へ正常に移行されたことが確認できました。

QNAP TS-464 HBS3移行完了通知|DataVol1からSSD_HBSへ移行成功
▲通知上でも、Hybrid Backup SyncがDataVol1からSSD_HBSへ移行されたことを確認できました。

ボリューム情報でも、移行完了を確認

また、App Centerのボリューム情報でも、SSDのボリューム「SSD_HBS」側にHBS3(Hybrid Backup Sync)が表示されていることが確認できます。

QNAP TS-464 HBS3移行後のApp Center確認|SSD_HBS側にHybrid Backup Syncが表示
▲移行後は、SSD_HBS側にHybrid Backup Syncが表示されました。

これで、HBS3アプリケーションの配置先はボリューム「DataVol1」から、ボリューム「SSD_HBS」へ移りました

既存ジョブが残っているかも、確認する

HBS3をSSD_HBSへ移行したあと、既存のバックアップジョブが残っているかも確認しました。

QNAP TS-464 HBS3移行後のバックアップジョブ確認|既存ジョブが残っている状態
▲HBS3移行後も、既存のバックアップジョブは残っていました。公開時はジョブ名、IP、バケット名、フォルダ名などを伏せています。

私の環境では、HBS3移行後も既存ジョブは残っていました。

ここまでで、HBS3をSSDボリュームへ移行する作業は完了です。

遅延警告が消えたかどうかは、まだわからない

ただし、この時点ではまだこの記事の作業の最終目的「QuDedup遅延の警告(ワーニング)が消えた」とは言えません。

最後に、実際に同じHBS3ジョブを再実行し、QuDedup遅延警告が出るかどうかを確認する必要があります。

作業5:HBS3移行後に同じバックアップジョブを再実行する

HBS3をDataVol1からSSD_HBSへ移行したあと、同じバックアップジョブを手動で再実行しました。

ここで確認したいのは、次の2点です。

  1. QuDedup遅延警告が再び出るか
  2. バックアップジョブが正常に完了するか

今回の記事の目的は、HBS3をSSD_HBSへ移行したことで、実際に警告が消えるのかを確認することです。

移行後の再実行ではQuDedup遅延警告は出なかった

HBS3移行後、同じS3 Glacier系のバックアップジョブを手動で実行しました。

結果として、私のTS-464環境では、移行後の再実行でQuDedup遅延警告は表示されませんでした。

QNAP TS-464 HBS3移行後のバックアップ成功|QuDedup遅延警告なしで完了
▲HBS3をSSD_HBSへ移行後、同じバックアップジョブを再実行しました。今回の実行ではQuDedup遅延警告は表示されませんでした。

移行前後の結果を比較すると、以下のようになります。

項目移行前移行後
HBS3開始2026/06/01 01:00:122026/06/05 19:26:08
HBS3完了2026/06/01 01:20:502026/06/05 19:33:27
所要時間約20分38秒約7分19秒
QuDedup遅延警告ありなし

この結果だけを見ると、HBS3をSSD_HBSへ移行したことで、警告が消え、所要時間も短くなったように見えます。

ただし、ここは慎重に扱います。

バックアップ処理時間は、バックアップ対象の差分量、NAS側の負荷、クラウド側の状態、ネットワーク状況によって変わります。
そのため、この記事では「必ず高速化する」とは書きません。

あくまで、私のTS-464環境で、今回の再実行ではQuDedup遅延警告が出なかったという実機検証結果として扱います。

HBS3レポートで処理内容を確認する

HBS3のレポートを見ると、今回のバックアップジョブでは、ほとんどのファイルが未変更として扱われていました。

表にまとめると、次のような内容になります。

項目
合計ファイル数522,563
合計サイズ5.88TB
フィルター処理済みファイル数213,962
未変更のファイル数522,547
処理されたファイル16
処理されたサイズ5.16MB
転送されたサイズ3.37MB

処理対象になったファイルは16個、転送サイズは3.37MBでした。

つまり、今回の再実行は、全データを再転送するような処理ではありません。
大半のファイルは未変更として判定され、差分だけが処理されています。

この点からも、移行前後の所要時間差を参考程度に考えていただければと思います。

Resource MonitorでもI/O待機を確認する

HBS3移行後の実行中に、Resource Monitorも確認しました。

CPU使用率、メモリ使用量・使用率、I/O待機

  • 作業前 
    QNAP TS-464 HBS3移行前Resource Monitor|CPU、メモリ、I/O待機の確認
     
  • 作業後
    QNAP TS-464 HBS3移行後Resource Monitor|CPU、メモリ、I/O待機の確認
     

HDDレイテンシ

  • 作業前
    QNAP TS-464 HBS3移行前ディスクI/O|HDD 4台の読み書きとレイテンシ
     
  • 作業後 HDDレイテンシ

    QNAP TS-464 HBS3移行後ディスクI/O|HDD 4台の読み書きとレイテンシ 

移行前後のResource Monitor比較 一覧表

移行前後のResource Monitorを比較すると、次のようになります。

項目移行前移行後
平均CPU使用率約15.4%約19.7%
I/O待機約18.3%約7.3%
メモリ使用量3.55GB / 7.55GB4.04GB / 15.42GB
メモリ使用率46.9%26.2%
HDDレイテンシ4〜8ms程度2〜3ms程度

移行後は、I/O待機が約18.3%から約7.3%へ下がっていました。
QNAP公式FAQで「データ量が増えるとI/O性能の影響を受けやすくなる」と説明されていることからもこの性能向上は効果が見込めます。

ただし、これも同じく参考値です。
バックアップ対象の差分量や実行時のNAS負荷が完全に同じ条件ではないため、HBS3をSSDへ移せば必ずこの数値になる、という意味ではないのでご注意ください。

今回確認できたことは、次の範囲です。

私のTS-464環境では、HBS3をDataVol1からSSD_HBSへ移行したあと、同じバックアップジョブの再実行でQuDedup遅延警告は表示されませんでした。
また、今回の実行では所要時間とI/O待機も移行前より低い値になりました。

この結果から、今回の警告文に対しては、SSDキャッシュではなく、HBS3アプリケーションをSSDボリュームへ移行する対応が有効だったと考えています。

注意点・つまずきポイント

最後に、本記事の内容で注意した方がよい点をまとめておきます。

警告が消えるかは環境によって変わる

私のTS-464環境では、HBS3をSSD_HBSへ移行したあとは、同じバックアップジョブの再実行でQuDedup遅延警告は表示されませんでした。

ただし、これは私の環境での実機検証結果です。

バックアップ対象の差分量、NAS側の負荷、クラウド側の状態、ネットワーク状況によって結果は変わります。
そのため、「HBS3をSSDへ移せば必ず速くなる」とは考えない方がよいです。

TS-464-8Gのメモリ増設は公式資料の記載差に注意

今回、私の実機では既存のTranscend 8 GBメモリを外し、Samsung 8 GBメモリ2枚へ交換したところ、QTS上で16 GBとして認識しました。

ただし、TS-464のメモリ拡張可否については、QNAP公式仕様ページとTS-x62 / TS-x64ユーザーガイドで記載に差があります。

そのため「私の実機では16GBとして認識した」ということであり、すべてのTS-464-8Gで同じ結果になるとは言い切れませんのでご注意ください。

HM-21はQNAP推奨寸法からは外れる

今回使用したM.2 SSD用ヒートシンク「AINEX HM-21」は、私の実機では取り付けできました。

ただし、QNAP公式仕様で示されているM.2 SSD用ヒートシンクの推奨寸法と比べると、HM-21は幅が約2mm大きいです。

実際、取り付け時にはCPUクーラーとの干渉に注意が必要でした。
今回は固定用リングの位置をずらすことで装着できましたが、余裕のある組み合わせではありません。

同じヒートシンクを使う場合でも、実機で干渉しないか確認した方がよいです。

まとめ

今回は、QNAP TS-464でHBS3のQuDedup遅延警告が出ていたため、メモリ16GB化、M.2 SSD 2枚追加、SSD RAID1ボリューム作成、HBS3のSSD_HBS移行を行いました。

結論として、私のTS-464環境では、HBS3をボリューム「DataVol1」からボリューム「SSD_HBS」へ移行したあと、同じバックアップジョブの再実行を行い、QuDedup遅延警告は表示されませんでした。

今回行った主な作業は、以下のとおりです。

作業内容
メモリ交換Transcend 8GBを外し、Samsung 8GB×2で16GB化
M.2 SSD追加Silicon Power P34A60 512GB×2を装着
SSD構成M.2 SSD 2枚でRAID1ストレージプールを作成
ボリューム作成シックボリュームとして「SSD_HBS」を作成
HBS3移行App Centerから「DataVol1」→「SSD_HBS」へ移行
作業後検証今回の再実行ではQuDedup遅延警告なし

処理時間は、移行前が約20分38秒、移行後が約7分19秒でした。
ただしこれは、バックアップ対象の差分量やNAS側の負荷、クラウド側の状態によって処理時間は変わるため、参考値として見ていただければと思います。

同じようにHBS3のQuDedup遅延警告が出ている場合は、警告文の内容を確認し、HBS3がHDDボリューム上にあるかどうかを確認してみるとよいと思います。

脚注・出典

  1. 自宅や会社のネットワークにつないで、PCやスマホなど複数の機器からファイルを保存・共有できるストレージ機器
  2. TS-464|ハードウェア仕様(https://www.qnap.com/ja-jp/product/ts-464/specs/hardware
  3. TS-x62 / TS-x64ユーザーガイド(https://eu1.qnap.com/TechnicalDocument/Storage/SMB%20NAS/ts-x62&x64/ts-x62-x64-ug-ja-jp.pdf
  4. Silicon Power公式オンラインストア「P34A60 PCIe NVMe M.2 Gen3x4」製品ページ(https://eshop.silicon-power.com/en/products/a60ssd
  5. アイネックス HM-21-SET(https://www.ainex.jp/products/hm-21-set/
  6. NAS上のストレージ領域(ストレージプール、ボリューム、LUN)を作成、管理、監視するためのQTS(QNAP Turbo NAS System)標準の総合管理ユーティリティ
  7. よく使うデータを速いSSDへ、あまり使わないデータを大容量HDDへ自動で振り分けるQNAP NASの機能
  8. ドライブ本体に暗号化機能を内蔵し、保存データを自動で暗号化して保護できるSSD/HDDの仕組み
  9. 同じデータを2台のドライブに同時保存し、片方が故障してもデータを守ることが出来るRAIDの構成
  10. コンピューター内部で使われる2進数基準の容量表記のこと
  11. 作成時に容量をあらかじめ確保するため空き容量を管理しやすく、安定運用しやすいボリューム形式
  12. 必要になれば後で容量を拡張することも可能です
  13. ちなみに、スナップショット単体では、ストレージ自体の物理故障(ハードディスクやサーバー本体の破損・水没など)には無力なので、バックアップそのものの代わりにはなりません

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